夏至祭

夏至祭は6月18〜25日の間、国ごとに少しずつ異なる日程で開催されます。フィンランド、スウェーデン、エストニア、ラトビアでは、夏至祭は最も大切な夏の伝統行事とされており、それぞれに独自の伝統を持っていますが、特別なお祝いの料理や花輪作り、焚き火やメイポールなど火の周りに集まってお祝いすることは各国に共通する夏至祭の名物です。

フィンランド(Finland

フィンランドの夏至祭は、8月18〜25日の間の毎年異なる日程で行われ、通常は焚き火やサマーコンサートなどのイベントが開かれます。また、フィンランド人のほとんどは夏至の時期を自分のサマーコテージで過ごします。

スウェーデンでは、夏至祭は最も盛り上がるイベントのひとつです。夏至の前夜祭は6月19〜25日の金曜日と決まっており、多くの場合、田舎でお祝いします。夏至の間は友達や家族で集まり、花輪で飾ったメイポールを広場に立てて、大人も子供もみんなで輪になって踊ります。シュナップスを飲みながら頭に花冠をのせて歌を歌ったり、ニシンの酢漬けにジャガイモやチャイブ、サワークリームを添えて食べたりするのも、伝統的な楽しみ方です。また、夏至の間、枕の下に7種類の花を敷いて眠ると運命の人が夢に現れるというロマンチックな言い伝えもあります。

エストニアでは聖ヨハネ祭として知られる夏至祭は、最も古い地域のお祝い行事のひとつです。花が咲き誇り、日が延びて夜も明るくなる6月下旬は、みんなが休暇を楽しむ最高の時期です。

夏至(Summer Solstics)

北部に位置するエストニアでは、日没が遅く、夜も夕暮れほどの暗さにしかならない“白夜”の現象が起こります。北半球では、夏になると一年で最も日が長い夏至の日を中心とした、ミッドサマーの時期を迎えます。夏至が起こるのは6月20日か21日で、夏至祭は、23日の前夜祭と24日の2日にわたって行われます。この期間、エストニアの人々は寝るのも忘れ、焚き火のそばで薄明るい夜を楽しみます。

古代の民族伝統を起源とする聖ヨハネ祭は、干し草作りの始まりを示す日でもあります。聖ヨハネ祭は、エストニアにキリスト教が伝わるずっと前から祝われており、ヨハネというキリスト教の名前が与えられていますが、非キリスト教の伝統は現在も残っています。1919年6月23日にエストニアが独立戦争でドイツ軍を破って以降、夏至のお祝いは、エストニアの勝利の日と重なっています。

今なお残る伝説(Superstitious legends)

夏至の前夜には、様々な伝承や言い伝えが今も残っています。子供たちが遅くまで起きている頃、若い恋人たちは、この夜だけ咲くと言われているシダの花を探しに森に行きます。蛍の幼虫も、幸運の予兆だとされています。また若い女性は、未来を覗いてみたければ、9種類の花を集めて夜枕の下に敷いて眠ると、未来の配偶者が夢に出てくると言われています。さらに冒険好きの若者たちには、成功を願って焚き火の上をジャンプして飛び越えたり、ブランコをできるだけ高く漕いだりする儀式もあります。

現在では、夏至は都会の人々が田舎でひと休みするための祝日となっており、友達とバーベキューをしたり外でピクニックをしたりするのが主流となっています。一方で、大きな焚き火を囲んでバンド演奏を行うパーティーの伝統は、今も多くの町や村でメインイベントとして残っています。

ラトビアにおいて夏至は、最も歴史あるお祝いのイベントです。太陽が向点に達し、一年で最も日が長く夜が短い1日を迎える時期をみんなで祝います。夏至は毎年同じ日に起こるわけではないため、かつてのラトビアの人々は太陽の動きに合わせて祭りを開き、6月21日をお祝いのはじめとするようになりました。現在、6月23日の前夜祭と、ヤーニュ(Jāņi)と呼ばれる夏至の日がラトビアの祝日となっていますが、中には太陽暦に従った本格的な伝統を実践する人もいます。

夏至のお祝いは農村部にとって暮らしの重要な一部となっています。様々なコミュニティーや農場がゲストを招き、歌やダンス、昔ながらの儀式などを一緒に楽しみながら、ゲストに夏至お祝いの伝統について話したり、実際に体験してもらったりすることに喜びを感じています。